P-Study System の歴史と未来

えー,最初に書いておきますが,下記の文章は決してポジティブな内容ではないですし,また開発者として書いているので一般向けの内容ではありません.


最初にこれまでの P-Study System の歴史を見てみます.

  • 1996, Ver.0, DOS 版開発,中学の英語のテスト用に英単語暗記を目的としてごく自分個人のために開発.自分の好きなように問題を作れるソフトが欲しかったから.
  • 1998, Ver.0, Windows 版開発,高校(高専)の英語の例文暗記用に開発.
  • 2001, Ver.2, インターネットで公開.タイピングモードのみなど,ごく単純な機能のみを備えていた.
  • 2002, Ver.3, 学習履歴機能を大幅に拡張
  • 2002, Ver.4, 4択モード,インターネットランキング搭載など現在の基盤となる機能が完成.
  • 2003, Ver.5, UNICODE 対応,基本的な機能はほぼ網羅.
  • 2003, Ver.6, GUI を一新.内部DBをバイナリに.シェアウェア化.
  • 2005, Ver.7, 内部DBをSQLiteに.UI に変化なし.今後の拡張の基礎固めだった.
  • 2006, Ver.8, 外部連係機能を大幅に拡張.待望のネイティブ音声への対応,例文表示の実装.

まだリリースしていない Ver.8 も書いてみましたが,僕がここで言いたかったのは Ver.5 で内部的な変革を起こし,Ver.6 で使い勝手を改善したという流れが,Ver.7 と Ver.8 の関係に似ているのではないかという点.
Ver.5 と Ver.7 は内部的,つまり開発者として大きな改革,刷新をしているのだが,ユーザへの恩威は少なかったと思う.
そして,結果的に Ver.8 に GUI の大幅な刷新はなかったものの,Ver.6 で搭載した復習関連の機能追加と Ver.8 の例文,Googleイメージ検索対応,ネイティブ音声対応といった機能追加は,学習支援機能の充実という点で同様の改善と言えるのではなかろうか.

つまり,奇数バージョンで内部的変更を,偶数バージョンでユーザエクスペリエンスの改善を行っていた,という流れ.

となるとその次,Ver.9 ではまた大きな内部の変革があるのだろうか.
残念ながらもうそれだけのことをする気力は今のところないし,せいぜい SQLite のバージョンをあげるくらいだろうか(これくらいのことなら Ver.8.x でやりそうだけど).

結局のところ,ほぼ PSS は完成したと思ってるわけです.
PSS は色々な意味で実験的なソフトでした.

第一に,ユーザの要望を取り入れ続けることで理想的な学習ソフトが作れるのか,という実験.半分は成功し,半分は失敗したと思っています.

第二に,これは僕のごく個人的な事情ですが,僕個人の開発能力がオンラインソフトの開発でどれくらい伸びるのか,という実験.これも成功と失敗が半々だっただろうと思います.

そして第三.これは第一の実験とも関連しますが,個人作製のソフトでできること全てを実現するという実験.


詳細を書きましょう.
第一の要望ベースで進化したという点,また第三の個人でできること全てという点から,現在の PSS は非常に雑多な機能と UI を持つソフトウェアになっているわけです.
従って,ユーザは常に自分の学習法を模索する必要があります.どの機能を使って,どのように学習するのか.そういった点では PSS は全くフォローしません.
通常学習を使うのか,スマート学習を使うのか,両方使うならどう組み合わせるのか,僕の中で考えているところはありますが,UI には全く反映されていませんね.
どのモードを使うのか,どのレベルの人はどの問題集を使うべきなのか,そもそも問題集は使うべきなのか作るべきなのか,全てユーザ自身に判断してもらうソフトウェアです.

問題集のことを言えば,第三の個人作製ならではという点の逆,つまりお金をかければできるという点がありましょう.だからこそ,いやでないからこそ,自作問題集作成機能を充実させているわけですが.

つまるところ教育関連のソフトウェアはコンテンツ勝負です.家電量販店の教育関連ソフトの棚にあふれるソフトウェアは,分野・レベル毎に細かく分類され,それが特徴になっています.機能的な特徴ではなく,コンテンツの質で勝負しているわけです.
別にそれを批判したいわけではないけれども.
そう,以前にも書きましたが PSS は教育関連ソフトの「最低レベル」を作るのが目的だったのです.ネットにあふれるフリーソフトシェアウェアでも,市販のソフトでも,教育関連ソフトにおける必要最低限の機能というものを実装し,提案したいというのが PSS の使命だったわけです.

それでは次に何をするのか.PSS 自身がコンテンツと結びついていくという流れもあるでしょう.PC という閉鎖的な空間を飛び出すという流れもあるでしょう(閉鎖的だからこそできることもありますが).

いずれにしろ,Windows 版の P-Study System が持つ使命はほぼ果たせたのではないかと思っています.
もちろんこれからも様々な要望を取り入れ,少しずつ進化していくだろうと思います.

PSS を作るのはこれからも僕だけですが,PSS の進化を決めるのはユーザのみなさんです.
どんどん要望を言って頂きたいです.